Bing Maps Key のライセンスについて調べてみた
なんだか気が付くのががっつり遅くなりましたが、今年の1月にBing Mapsのキーのライセンス体系が更新されているのですね。受信トレイをひっくり返したら、きちんとお知らせメールも頂いておりました・・・orz。いつかは地図アプリを世に出したいと妄想する身としては、きっとBing Mapsのお世話になるはずなので、キーの取得の流れやライセンスについて改めて調べてみました(※Microsoft様に直接確認をとったりはしていないのであくまでご参考までに)。
Bing Mapsキーを作成する一歩手前までの流れ
Bing Maps キーの取得はBing Maps Account Centerで行います。自分のMicrosoftアカウント(旧Windows Live ID)に紐づくBing Mapsアカウントを作成し、そのアカウントに紐づくBing Maps キーを作成すると言う流れです。Microsoftアカウント(旧Windows Live ID)をお持ちでない場合は、まずはMicrosoftアカウントを作成してください。以下作成の一歩手前までの手順です。
1) Bing Maps Account Centerにアクセスします。すでにBing Mapsアカウントを持っている場合は[Sing in]を、持っていない場合は[Create Bing Maps Account]をクリックします(本エントリでは新規にアカウントを作成します)。
2) Microsoftアカウントでログインしていない場合は、ログインを求められるのでログインしてください。現在ログインしているMicrosoftアカウントを使用してBing Maps キーを作成するか確認が求められます。作成する場合は[Continue]をクリックします。
3) Bing Mapsアカウントを作成するための詳細情報を入力する画面が表示されます。必要な情報を入力して、[Save]をクリックします。
4) Bing Mapsアカウントの作成に成功するとホーム画面が表示されます。左メニューから[Create or View keys]をクリックします。Bing Mapsキーの作成画面が表示されます。
Bing Mapsキーを作成する前に
Bing Mapsキーの作成画面が表示されたら、キーを作成する前にまず注意書きをよく読んでください。
"You are able to create two keys (Trial or Basic) for most application types and one additional Windows Store app Trial key under this account. Trial keys expire after 90 days and cannot be converted to Basic keys. You cannot delete keys or generate more than 3 keys from this account. If you intend to create a non-trial application, make one of the keys a Basic key and read the governing TOU that defines usage limits."
(※意訳)
このアカウントを使用して、任意の(ほとんどの)タイプのアプリケーション用の"Trial"もしくは"Basic"キーを2つまで作成することができます。加えてWindowsストアアプリケーション用のTrialキーを1つ作成する事ができます。Trialキーは90日で期限切れとなりBasicキーに変更する事はできません。作成したキーは削除する事ができず、またこのアカウントを使用して3つを超えるキーを作成する事もできません。もしトライアル版ではない(Bing Mapsキーを利用する)アプリケーションを作成する計画があるのであれば、1つ以上のキーのタイプをBasicに設定し、利用(リクエスト数)上限について定義しているTerms Of Use(利用規約)を確認してください。
箇条書きにすると、
- アカウントで作成できるキーは3つまで(うち1つはWindowsストアアプリケーション用のTrialキーに限定)
- 一度作ったキーは削除できない
- Trialキーは90日で期限れとなり、Basicキーに移行できない
つまり、あるBing MapsアカウントでTrialキーを3つ作ってしまうと90日後にそのアカウントは詰みます(※そのようなケースにおいて追加でキーを作成する場合はmpnet@microsoft.comにコンタクトをとるようにとヘルプには記載があります)。
従ってキーを作成する場合は将来どのようにキーを利用するかを慎重に検討する必要があります。ちなみにキーのタイプ(各キータイプ(Trial/Basic/Enterprise)が適用できるアプリケーションの利用形態(BasicとかTrial)について列挙すると:
[Trial]
- 90日で期限切れとなる
- Basicキーに移行不可能
- 課金対象となるトランザクションが最大で10,000/30日まで無料で使用可能
[Basic]
- 一般コンシューマー向けのアプリケーションに利用できる(業務アプリなど組織内の限られた人間が利用するアプリには使用できない)
- その他の利用制限事項については利用規約を確認(※後述)
[Enterprise]
- TrialもしくはBasicに当てはまらない形態でBing Mapsを利用したい場合の有償契約オプション。Contact Us: Bing Maps for Enterpriseのページから契約申し込みを行う
※ Webサイト/Windowsストア/教育など)についてはヘルプに一覧が記載されています。
※ 課金対象となるトランザクションについて、Bing Mapsへのどのリクエストが課金対象になるかは、ヘルプに記載されています。
Basicキーの利用規約
さて私のように個人でWindowsストアで地図アプリケーションを作りたいと考えている場合は、最も使いそうなのがBasicキーになると思いますのでBasicキーの利用規約を確認してみます。
実際の利用規約はこちらです。・・・心が折れそうなほど長いんですが・・・、とりあえず左のメニューから[Only for Windows Store App Development]をクリックすると、Windowsストアアプリの開発に適用される利用規約(セクション 1, 2, 8 および 10)のみ表示されるので若干読みやすく(?)なります。
利用規約において特に重要なのはやはり制限事項を記載しているセクション8.2でしょうか。以下にいくつかの制限事項を抜粋して意訳します(※訳はあくまで私個人の解釈です。実際に利用される場合は必ず原文の内容を確認してください。ってか英文の規約でよく使われる"nor"とか意味がとれないので勘弁して頂きたい・・・)。
8.2 (b)
"Copy, store, archive, or create a database of the Content, except that geocodes may be stored locally only for use with your Company Applications."
(※意訳)
Bing Mapsのコンテンツ(地図画像など)の複製、履歴の取得、コンテンツを利用したデータベースの構築を禁止する。ただしジオコード(geocodes:緯度経度から住所を取得、もしくはその逆)結果については作成したアプリケーションのみが利用する場合はローカルに保存できる。
8.2 (c)
※原文省略
(※意訳)
課金対象となるトランザクションが50,000/24hを超えない、かつBing Spatial Data Services APIを使用したジオコードもしくはファイルアップロードのバッチ処理(1バッチ処理あたり最大50レコードまで)が5バッチ/24hを超えない場合に無償で利用できる。
8.2 (e)
"Present or alert an end user to individual maneuvers of a route in any way that is synchronized with the end-user’s sensor-based position along the route (e.g. turn by turn navigation that tracks end-user’s position using GPS and communicates a maneuver as the end-user approaches the location for such maneuver)."
(※意訳)
GPSなどのセンサーにより取得されたエンドユーザーのあるルート上における現在位置と同期して、エンドユーザーに個々の道順を表示/通知するいかなる手法にも用いてはならない。
いわゆるリアルタイムナビゲーションへの利用は禁止されると解釈しました。地図アプリケーションだと結構実現したい機能なので残念です。
8.2 (g)
"Use the Services for business asset tracking, fleet management, or dispatch including, without limitation, to monitor or track the location or movement of Asset(s), including to provide guidance based on the position or routing of multiple objects tracked using GPS or other sensor-generated methods."
意訳はキャパ超えたので省略しますが(すいません)、いわゆる物流管理(ロジスティクス)へのサービスの利用も禁止されていると解釈しました。
8.2 (h)
Use bird’s eye aerial imagery (except you may use bird’s eye aerial imagery if your use of the Services is under Section 7 and consistent with Section 7.1 accordingly).
(意訳)
バードアイ(鳥瞰図)モードでの航空写真を利用してはならない(ただしセクション7に示される利用(※商用、非商用、行政用途を意図してサービスを評価するための利用)の場合を除く)
8.2 (r)
"Use any automated process or service to access and/or use the Services (such as a BOT, a spider, periodic caching of information stored by Microsoft, or “meta-searching”)."
(※意訳)
いかなる方法によっても自動化されたプロセスやサービスを使用してサービスにアクセスしたりサービスを利用したりしてはならない(BOTやスパイダー、検索結果やMicrosoftの情報の定期的なキャッシュの作成など)。
以上、いくつかアプリケーションの機能を作る場合に知っておいた方がよさそうな制限事項をピックアップしてみました。もちろんこれ以外の情報も重要ですので、Bing Mapsを利用してアプリケーションを作る場合は必ず利用規約を一読する事をお勧めします。
無償利用できるトランザクション数の上限を超えたらどうなるの?
さてTrialの場合は課金対象となるトランザクションが最大で10,000/30日、Basicの場合は50,000/24hと言うBing Mapsを無償で利用できるトランザクションの上限数が設定されていますが、このトランザクション数を作成したアプリが発行するトランザクション数が超えてしまった場合はどうなるのでしょうか?例えば公開したアプリケーションが世界的大ヒット!、アプリに組み込んだキーに紐づくトランザクション数も青天井!なんて可能性も0ではないと思います。はい、0ではないです、0では。
この点については、利用規約にもヘルプにも正式な記述を見つけられなかったのですが、以下のスレッド(ちょっと古いですが)で議論されています。一応Bing Maps Forumのモデレーターの方からの回答があります。
このスレッドを読む限り、開発者は事前にアプリケーションが発行するトランザクション数を見積り、必要であればEnterpriseキーの契約を行う必要があるようです。
また、もし無償のキーを利用している状態でトランザクション数が無償利用の上限を超えてしまった場合は、MicrosoftからEnterpriseキーの契約についてコンタクトがある場合があり、もし連絡がつかなければアカウント(およびキー)を無効化される可能性もあるとの事です。
いずれにせよ、いきなりMicrosoftから請求書が飛んでくると言うことはなさそうです・・・、うん、な・・ないよねきっと。
Bing Mapsキーを作って使おう
ということでもろもろの利用規約を理解したら、Bing Mapsキーの作成画面に必要な情報を入力してキーを作ります。以下ではWindowsストアアプリ用のBasicキーを作成しています。
Bing Mapsキーの作成画面にキーが表示されれば作成完了ですのでこのキーを使用してアプリケーションを作成します。例えばBing Maps SDK for Windows StoreのMapコントロールにキーを指定する場合は以下のような具合です。
<bm:Map Credentials="開発者キー" x:Name="myMap"></bm:Map>
さて私の地図アプリの公開はいつになる事やら・・・